環境問題と行動経済学。レジ袋有料化から1年、その結果は?

地球上で世界各国で環境問題に対する早急な対策と対応が叫ばれ、日本でも2020年7月1日からプラスチック製のレジ袋の有料化が開始され、一年が経過しました。あっという間ですね。
レジ袋は軽くて丈夫で、耐水性もあるため、ついつい便利で利用しがちですが、便利さの一方で、廃棄物や地球の資源の限界、海洋プラスチックのごみ問題、地球温暖化などの課題を抱えています。環境問題先進国のヨーロッパなどではずっと以前から取り組まれていた施策なので「やっと対応したのか」というのが私の去年の率直な感想でした。

レジ袋有料化から1年、大手コンビニ3社のジ袋辞退者は7割以上、昨年開始時に比べて3倍に増加

NHKのニュース「レジ袋有料化1年 辞退率7割以上 導入前の3倍程度に増加(2021年6月30日)」 によると、レジ袋を辞退する人は70%以上に達し、有料化導入前の3倍程度に増加したそうです。この事例はあくまでコンビニ各社の回答なので、スーパーなど業種や業態、客層によってレジ袋の辞退率には違いがあるかもしれませんが、参考になる数値です。

各コンビニのプレスリリース
セブンイレブン
ローソン
ファミリーマート

一方でレジ袋に似た取っ手付きポリ袋の売上は2倍以上増加

「ほら!やっぱりレジ袋有料化の効果は出ているのではないか!」と思いたくもなるのですが、一方でレジ袋と形が似た取っ手付きポリ袋の売上は、ゴミ袋メーカーが行った調査によると2倍以上に増えているそうです。その他の記事でも調べましたが、ホームセンターや100円ショップでも2倍以上増加していると記載されていたので、やはり増えていることは事実のようです。買い物ではエコバックを利用するけど、自宅でのゴミ捨てなどに必要だから…という理由でポリ袋を購入する、ということでしょうか。日本全体のレジ袋・ポリ袋の利用量の総数を大幅に減らすにはまだまだ意識改革が必要なようですが、大事なのはレジ袋を減らすのではなく、プラスチックの利用・ゴミ全体を減らすことだと思います。レジ袋有料化に慣れ、また私たちの危機意識が薄まらないうちに、もっと強力な意識付けをしていきたいものです。

Photo by Naja Bertolt Jensen on Unsplash

エコバックが当たり前のヨーロッパ

ここで少し昔、コロナ禍に入る前の2017〜2018年のヨーロッパ事情に話を移します。当時、ヨーロッパ諸国へ旅行にいくことが多かったのですが、ほとんどの国でレジ袋が有料でした。スーパーで買い物をしていない国もあるので、全ての国がそうだとは言い切れないのですが、街なかでビニール袋を持っている人を見ることもほとんどありませんでした。私はたまたまお土産を入れる用に大きなエコバッグを持っていったので助かったのですが、そのエコバッグがなかったら、不自由していたと思います。

レジ袋を購入するのが億劫になる行動をあえて設計すれば良いのでは

エコバックが当たり前なので、レジ袋を持っていない人たちは、当然、会計時にレジ袋の購入が必要です。そこで感じたのが、レジ袋を買うのが面倒なお店が多かったこと。スーパーによってはレジから遠い場所にあったり、レジの下の取り出しにくい棚にあったりと、「わざとなのかな?」と思うように設計されているのでは、と感じるくらいです。たまたま棚の位置がその場所しか取れなかったのかもしれませんが…。

また、袋の種類も
①通常のレジ袋
②通常よりも耐久性が高い厚手のビニール製のレジ袋
③紙袋
④布の頑丈なエコバック
の4種類が用意されていることが多く、現在はコロナウィルスが流行っているので不衛生ですが②や③を使いまわしている人も多い印象でした。

しかし、2020年にレジ袋有料化が開始されたばかりの日本はどうでしょう。必ず「レジ袋はいりますか」と聞いてくるスーパーやコンビニはないでしょうか。私はむしろこの声がけ自体も無くしてしまって、「マイバッグが当たり前」の姿勢で接客しても良いのではと思っており、まだまだ「レジ袋を購入しやすい環境」だなと感じています。

イギリスの高級スーパー「Waitrose」のセルフレジとレジ袋

こちらは、2017年のときのイギリスの高級スーパー「Waitrose(ウェイトローズ)」でのセルフレジの写真です。「Waitrose」にはイギリス王室御用達の商品やオーガニックの農作物など高級食材を取り扱っていて、日本でいうと「成城石井」や「明治屋」といったようなブランドがイメージが近いでしょうか。2017年当時は、セルフレジの両サイドに薄いレジ袋が設置されていて、「レジ袋が入手しやすい環境」でしたが、このような薄手のレジ袋を利用している人はあまり見かけず、もう少し厚手で何回か利用できるビニール袋か、エコバックを利用している人が大半でした。高級ラインの品揃えであるスーパーであるということと、そのお土地柄かもしれません。

その後のWaitroseにてつい調べてみたのですが、恐らくこの薄いレジ袋はもう撤廃されているようです👏

All 5p plastic bags were removed from our stores in March 2019

WaitroseのWebサイト“Changes to carrier bags”から引用

確か、イギリスではレジ袋の値段が、①通常のレジ袋が5ペンス(約7円くらい?)、②通常よりも耐久性が高い厚手のビニール製のレジ袋が10ペンス(約14円くらい?)、③紙袋(こちらは不明…)で、②が高いなぁと思った記憶があります。

クリスマス用の?量り売りのナッツたち

ちなみに、少し話は変わりますが、イギリスでは2017年時点でセルフレジほとんど普及していて、前述の「Waitrose」やイギリス最大のスーパーマーケットチェーンである「Tesco」でもレジにスタッフがいないことに驚きました。日本でも幸か不幸かコロナパンデミックの影響でセルフレジ・キャッシュレスが普及したので、この流れは継続してほしいなぁという個人の感想です。

環境問題は一人ひとりの意識が大事、だけど自分ごとにならないのはなぜか

よく環境問題の話題のなかで疑問として出てくるのが、「なぜ環境問題はもう目前まで迫っているのに人々の危機感や行動は劇的に変化しないのか」という問いです。

行動経済学の権威でもあるリチャード・セイラーは著書「実践 行動経済学」の第12章「われわれの地球を救え」では、温室効果ガス削減のために行政や国が人々にナッジ(※1)を与えれば、気候変動といった環境問題は改善できるのかどうか、環境問題に対する行動経済学についての可能性について言及しています。また、その著書のなかでセイラー氏は2つの大きな問題があると記載しています。その内容については次回触れたいと思います。

Header Photo by Christopher Vega on Unsplash

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