ライフスタイル提供型?電気自動車メーカー「NIO(ニーオ)」

昨日のブログの続きで、中国版TESLAとも言われる、中国のEV自動車(電気自動車)メーカーの「NIO」について。

NIOはEV自動車を売るのではなく、「NIOのあるライフスタイル」を提供する

NIOとは高級EV自動車(電気自動車)メーカーと表現されることが多いですが、「アフターデジタル2」によるとNIOは

「鍵を渡してからが仕事」

と表現されています。

NIOは「NIOのある生活を提供する、ライフスタイル型高級会員サービス」のようなものだからだそうです。そのためユーザーは「自動車を購入するために大金を支払っているのではなく、その高級会員チケットを買うために支払っているので、「鍵を渡すまでが仕事」のTESLAとは異なると言及されていました。NIOは、正確に表現すると自動車メーカーではないのかもしれません。そもそも、NIOがライフスタイル型高級会員サービスたる所以は、NIOの会員サービスの設計にあります。

といったサービスが存在し、自分がNIOのオーナーであることへの優越感・企業への帰属意識を高めるサービスが設計されているのです。

こちらは「NIO HOUSE」の紹介動画です。「NIO HOUSE」は、NIOのユーザーや友人のために、車を超えた楽しいライフスタイルを提供する場として定義されています。

「NIO HOUSE」には、7つの主要エリアがあり、各エリアにはユーザーのニーズに合わせた独自のレイアウトがあるそうです。

  1. ジョイキャンプ:子供たちが探検し、創造し、成長するためのスペース
  2. ギャラリー:NIOとその製品を知るためのスペース
  3. リビングルーム:リラックスして、似たようなマインドの人々を会うためのスペース
  4. フォーラム:アイデアやインスピレーションを刺激するためのスペース
  5. ラボ:予約できる会議室とコワーキングスペースで生産性を高めるためのスペース
  6. 図書館:知識やリラクゼーションにふけるためのスペース
  7. NIO Café:最高のバリスタによる特製コーヒーを味わうためのスペース

NIOの財務諸表を解説するYoutube動画にも、「アフターデジタル2」にも、NIOはまだまだマネタイズ段階ではないと言及されていました。そういった中であのような熱気あふれるイベント「NIO DAY 2020」となったのは、その場にいたNIOユーザーたち自身が『「NIOがある生活の権利」を購入していて満足していること』の現れだと言って良いと思います。中国では、アメリカのように車移動が多いのかどうか、私は知りません。都心だと中国版Uberであるタクシー配車プラットフォームサービス「DiDi(ディディ)」が普及率・稼働率が高いと聞いているので、NIOが提供するサービスは、わざわざ自分で車を所有ことのほうが勝るほどの価値なのでしょうか。ただ、たしかに車は「動く個室=パーソナルスペース」であり、言ってみれば自分のアイデンティティを表現する手段と考える人も多いはずです。となると、NIOのようなライフスタイルまで提供するサービスに惹かれる人も多いことでしょう。

サービスとしてのバッテリー「Battery as a Service」

今回、「NIO DAY 2020」におけるCEOの李斌氏のプレゼンテーションで私が最も印象的だったのは、「Battery as a Service(バッテリー アズ ア サービス)」という言葉でした。

今までの自動車製造メーカーは、自社製品販売後の自社顧客へのタッチポイントがほとんどありませんでした。販売は販売ディーラーですし、車検の整備も給油も他社が担っています。特にエネルギー源であるガソリンや軽油は、走行したら、した分だけ、消費されます。燃費にもよると思いますが、必然的に給油回数は増えるます。この給油のタイミングこそが、販売以降の顧客との日常的な一番のタッチポイントとも言えるのではないでしょうか。NIOは、その走行するためにエネルギー源を自ら提供することによって、LTVを向上させるのでしょう。

NIO公式サイト から引用

なかでも驚いたのは、NIOのバッテリーは、自動車にプラグを挿してバッテリーに充電するのではなく、バッテリーパックごと交換できるらしいのです。昔のガラケーを思い出しました。 バッテリーごと交換できるステーションを「Power Swap Station 2.0」と言って、そのステーションの設置を加速させていくと言っていました。バッテリーステーションがNIOユーザーが集まる場所、コミュニティハブになったら面白そうですよね。すでに前述した「NIO House」という会員用ラウンジがあるので、併設されているのかもしれません。

私の電気自動車の給電イメージはこういうものでした。
下の写真はオランダのアムステルダムに旅行したときの電気自動車の充電の様子です。

2017年にオランダのアムステルダムへ行ったときの電気自動車の充電の様子。

NIOのブランドサイトを見ると、残念ながら日本語対応がされていないので、日本での展開は直近ではなさそうですが、実物の車やラウンジなど見てみたいなと思いました。

「アフターデジタル2」では、NIOの会員チケット(自動車含む)は600~700万円ほどと記載がありましたが、今回の発表を見る感じだと、スペックやサポートプランなどで800万円以上になることも有り得そうです。コロナ禍においても1千万円以上の高級自動車の売上は伸びているというニュースを聞いたりしますが、現状“高級”と称されるブランドが、今後、どのような路線で商品展開・ブランディングをしていくのか、そして、それが「ライフスタイルを提供し、革新的な技術で自動車を製造する」というNIOのコンセプトと比べて、自動車購入時のプライオリティにどのような変化を及ぼすところか気になるところです。

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