ガウディをはかる展で気づいた建築とUXデザイン

天王洲アイルにある建築倉庫ミュージアムで開催中の「ガウディをはかる – GAUDI QUEST –」へ行ってきました。私は建築に詳しくないのですが(大学時代に西洋文化史でかじっただけ)、昨年転職のときの有給休暇消化期間中に行ったヨーロッパ旅行の際に、スペインでアントニオ・ガウディの建築物をいくつか観光したので、もっと深く知りたいと思い行ってきました。

美しすぎる!実測図がずらりと並んだ展示

展示の紹介には「実測図」「アクソメ図」といった言葉が並び、建築の知識がないと難しいのかな?と不安な気持ちもあったのですが、実測図が美しく、そして一度見たことのある建築物だったので、記憶をたどりながら楽しめました。今回の展示では、建築学博士で実測家である田中裕也さんの図面が70点以上展示されています。図面は手書きで、緻密に描かれたモノクロな図面はとても美しく、それ自体が芸術作品のようでした。あんな立体的で複雑なサグラダ・ファミリアの尖塔も幾何学の組み合わせでできているのだなぁと驚き。

この動画の右手に写っているテレビモニターに映写されていた田中さんの解説がとても端的ながら起承転結があり、分かりやすく、そして大変興味深いものでした。

初めてガウディの建築物を見たときは、「壮大で美しい」「どうやってこんな不思議な形を設計したんだろう」という単純でレベルの低い感想しか思いつかず、ガウディがその建築物に込めた想いや、時代背景、ヨーロッパの文化までは理解できませんでした。田中さんの解説から、ガウディの建築物は地中海地方の文化や自然が色濃く反映されていること、細かい装飾物一つひとつに意味があるということが分かり、「この知識があったうえで、またガウディの作品を見たい!」という気持ちが高まりました。ちょうど海外旅行に行きたい熱が高まっていたので、さらに拍車がかかってしまいました…(ヨーロッパ旅行って中毒になるのか体が欲する)

ガウディをはかる展のグエル公園の実測図
写真にすべてが入り切らないほど横長に大きい
ガウディをはかる展のグエル公園のドラゴン
展示に合わせて無彩色なのかな
これは実際にグエル公園で撮影したドラゴン
カラフルでかわいい。口から水が出ているため口が黒ずんでいます

芸術的側面だけではなくUXもしっかりと考えられたガウディの建築物

身体スケールで計算して作られた心地よい空間

このガウディをはかる展で私が一番興味を持ったのは、ガウディの身体スケールという手法。例えば、サグラダ・ファミリアの中にある柱は成人の歩幅75cmを基準として10歩分の間隔に、バラ窓といった見上げる位置にある装飾物はガウディの目線 1.6mから見たときに最も美しい形に、とすべて計算されているそう。確かにサグラダ・ファミリアの中を歩いたとき、柱と柱の間隔が、広くもなく狭くもなく心地よい間隔だった気がします。視点については美しさに圧倒され、わかりませんでしたが、建物の中を何も考えずに歩いてもどこかに導かれて、気づいたら一周見学していた、みたいな不思議な感覚になったのは覚えています。このストレスを全く感じない空間内での体験を普段の生活で例えると、「深く考えなくても、すいすい心地よく操作ができて、気がついたら購入していたECサイト」みたいな感じです(伝わりますかね)。また、サグラダ・ファミリア見学時に借りた音声ガイダンスでは、サグラダ・ファミリアのステンドグラスは、配置された方角によって、暖色にしたり寒色にしたりと、色彩を駆使して印象を操ったり、音の反響も考慮して設計されているとも言っていました。

サグラダ・ファミリアで撮影したステンドグラス

ガウディはサグラダ・ファミリア以外にも、カサ・ミラのひさしの出っ張りや窓の大きさ、コロニア・グエル教会地下聖堂にある象徴的な松の木の位置など、すべての建築物において随所にこだわりがあるそうです。

これも実際に撮影したカサ・ミラ

ガウディの建築物は曲線的で不思議な造形が多く、普段私たちが見慣れている建築物とは全く異なるのですが、この“慣れていない”建物の中にいても、拒否反応だったり、ストレスを感じなかったんですよね。すごい抽象的に言うと、ほわっと何かに包み込まれている感じがするんです。田中さんの解説によると、人間は洞窟といった曲線でできた住居で生活をしていたから、直線よりも曲線の方が人間は安心するそうです。

建築はUXデザインにおいて学ぶことがいっぱい

で、今さらなんですが「建築ってUXデザインで学ぶこといっぱいあるじゃん!」ということ。WebサービスのUXデザインの本ばっかり読んでたから、あまり外に目を向けなかった。。。視野狭窄って怖い…

ガウディをはかる展がきっかけで気づいたこと

  • ガウディって身体スケールや色彩、音響といった訪問者の五感に影響する事象にすごーくこだわっている
  • この建物の中(単純な室内という区切りだけではなく、外の空間も含めて)でユーザーにどのような体験をして欲しいかが明確
  • 建築はUXデザインと密接に関係している

もっと視野を広げて勉強していこうと思います。


ちなみにリチャード・セイラー教授の「実践 行動経済学」のナッジもUXデザインですよね。今読んでいる最中。


おまけ)サグラダ・ファミリアに行く際はオンラインでチケット予約を

行くならオンラインチケットで事前に購入しておくことをおすすめします。私は「サグラダ・ファミリアへ行こう!」と勇んで、午前中に行ったら大混雑。ゲートにあるサイネージには17時のチケットまで完売という文字が。当日券を購入し、日中は別のところを観光して時間を潰しました。

サグラダ・ファミリア公式のチケットサイト
https://tickets.sagradafamilia.org/
私は塔を登れるSagrada Família with Towers €32にしました。

また、グエル公園もチケットが売り切れている可能性が高いので、こちらも予約必須です。

グエル公園のチケットサイト
https://parkguell.barcelona/en/buy-tickets
購入後、QRコードが記載されたPDFチケットがメールで届きます。入場は時間制で、指定された時間に入場口に行くと入場できます。

サグラダ・ファミリアやグエル公園にかかわらず、ヨーロッパの人気観光スポットは大抵オンラインでの事前予約を推奨しているので、事前にチケットを手配しておきましょう。チケットサイトも多言語対応している(残念ながら日本語翻訳はほとんどない)のと、指定する項目もせいぜい日時・枚数・ツアーくらいなので、簡単に購入できます。日本もどんどん電子化されて、キャッシュレス、行列レスになると良いな。

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